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従来より弊社では、コミックマーケット合わせの印刷物における性表現については、準備会からの通達にある「商業誌に準じる」という部分や、これまでの準備会の判断実績などを総合的に吟味し、わいせつ図画として頒布不可となる可能性が高いと判断される表現については、修正範囲を広げる等の対策をお願いしてまいりました。
ご存知の通り刑法175条の「わいせつ図画」については、明文化された基準は存在せず、関係者の逮捕事例や、これまでに行われた裁判での例を見ながら、主に「性器・結合部への修正を行う」ことで対応してきました。
しかし、その修正も当然ながら法的に「安全・明確」な基準が存在しない以上、常に最新の状況をしっかりと把握されたうえで創作活動を行っていただくよう、お願いいたします。
コミックマーケット準備会による「 コミックマーケット 91 アフターレポート(2016年12月)」では、性表現問題に関して、以下のようなコメントがされています。
同人誌の表現に関連しては、この冬は今までよりもやや厳しい目線で頒布物確認を行ったことで、頒布停止の上、性器表現の修正をお願いするサークルが多く出てしまいました。これは、昨年来、商業誌での性器の修正が今までよりも一段厳しくなっていることを受けての変更によるものです。コミケットアピールにも必ず記載し、折を見て繰り返しアナウンスしている通り、コミケットにおける修正の目安は「商業誌レベル」ですので、商業誌の傾向が厳しくなれば、これにしたがってコミケットでの修正も当然に厳しくなります。「今までと同じ」というのは、たまたまその間、商業誌の状況に変化がなかったことに過ぎません。目安は一定ではなく毎回変化していくもの、と改めてご理解下さい。
このような変化を伴う時には、必ず「準備会が明確な基準を提示してほしい」という声をいただくのですが、「わいせつ」に関わる修正は、物語や絵柄、表現の文脈等によってもその妥当性は変化します。ましてや、状況は常に流動的であり、基準それ自体も社会通念によって変わるものです。つまりは普遍的ではないのです。ある時点で「問題なし」と考えられていたものが、当日も適切かどうかはわからず、最終的な判断は結局開催時にしか決められません。もし、変更を嫌うならば、リスクを回避するためにより大きな修正をお願いすることにならざるを得ませんし、一度目安を提示したとすれば、それは一人歩きして表現を必ずや制約することになります……。こうしたことは、サークルの皆さんの希望とも、なるべくサークルの皆さんに自由に表現してもらいたいという準備会の想いとも反することになってしまいます。サークルの皆さんが不安を抱かれているのはわかりますが、ネット等でありがちな「これが今の基準です」といった主張には安易に耳を貸さず、自分の表現が世の中でどのくらいのものなのかについて、即売会や印刷会社に任せるのではなく、自分の目で商業誌から学んで理解し、自らの自由意思と責任に基づいて表現してください。それが同人誌の厳しいところでもあり、一方で面白いところですらあると思うのです。
(「コミックマーケット 91 アフターレポート」より一部引用。全文はこちら→ )
以下の内容は、直近のコミックマーケット合わせで印刷予定の同人誌に対する有限会社ねこのしっぽとしての見解であり、他の即売会や次回以降のコミケットにおいては、その時点での状況に応じて変わる可能性があります。さらには、同人書店の取り扱い基準とも異なる可能性があります。
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C92合わせでも基本的な方針・情勢は大きくは変わっておりません。常に変動する情勢を考慮し、コミケットアピールにもあるように、直近の成人向け雑誌を参考に、ご自身で適切な修正度合いをご判断ください。
当社へご入稿いただいた原稿については、せっかくの作品がなるべく頒布停止などにならないよう、修正が足りないと思われる場合にはアドバイスや追加をお願いする場合がありますが、それらはあくまで当社での判断となります。準備会や取締当局の判断基準ではありませんので、あらかじめご理解・ご了承ください。
当社受付でも最新号の雑誌を何種類か用意しておりますので、見たい方はスタッフまでお声がけください。
(1)性器、結合部への修正は「線」ではなく「面」で行ってください。
女性器、男性器、あるいは性交シーンの結合部については、「性器と見なされる部位、および結合部に対して修正を行う」のが基本となります。この際、「細い線を複数並べる形での修正」は、修正が不十分と見なされる可能性があります。修正は、背後の絵が透けない白抜きまたは黒ベタでの「面」で行うことを強く推奨いたします。なお、モザイク処理を行う場合は、「輪郭線以外が完全に見えなくなる程度の」粗いモザイクで行ってください。
修正の度合いについては、先述の通り成年向け雑誌の近刊における表現をよくご確認ください。
※現状を鑑みて、参照すべきは「単行本」ではなく「直近の雑誌」であると考えております。
▲「線」の修正(味のりを使用したイメージ) ▲
▲「面」の修正(味のりを使用したイメージ) ▲
※以前より当社社長はTwitterで、修正を「のり」に例えております。
※撮影後に「のり」はスタッフが美味しくいただきました。
(2)修正のベタ面は「複数」入れてください。
白抜きまたは黒ベタでの修正におきましては、性器と見なされる部位を十分に覆い隠すよう、「複数」入れてください。何箇所必要かという点については、絵柄の大きさやタッチ(リアルな描写であるか、デフォルメされたものであるか)によって求められる修正度合いは異なると考えられます。
(3)必ず「奥付」を入れてください。
頒布する同人誌に対する責任の所在を明らかにするため、必ず奥付を入れてください。奥付にはサークル名、連絡先、発行日、印刷会社名などを記載してください。コミケットアピールの内容の繰り返しになりますが、奥付が全く無かったり不完全(連絡先不明など)な場合、問題が発生した際に故意に隠したと判断される恐れがあります。
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※「成年マーク」表示とは別の問題です。
今回の注意喚起については、刑法のわいせつに関わる問題です。これに対し、成年マーク表記などの対策は、いわゆる青少年健全育成条例に基づくゾーニングへの対応となります。成年マークの有無と、性表現への修正の度合いについては直接的な関係はありませんので、これらを混同することがないよう、留意してください。
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また、コミケットにて頒布が可能かどうかは、最終的にはコミケット準備会の判断に委ねらますので、コミケットアピールの「重要通達事項」や、昨年冬のコミックマーケット開催前に準備会から行われた発表にも、必ず目を通してください。
・【注意喚起】コミックマーケットにおける頒布物の表現について
・コミックマーケット91アフターレポート
(リンク先:コミックマーケット準備会公式サイト)